妙法蓮華経如来寿量品偈(宇宙生命の教え)
湛然訳
私(法華経を説いたとされる大通智勝仏)は悟りを得て仏となってこのかた、計り知れない永い時即ち永遠としかいいようのない永い時の間、常に無数の生きとし生けるものを教え導き、真実の道に導い入れてきました。計り知れない永い間、一切を救うために方便として私が死したことを示しました。しかし実は私は不滅で死んでおらず、常にここで教えを説いています。私は常にここに存在し、いろいろな神通力でもって一切の思いをひっくり返らせて私にいくら近づいても見えなくさせ、人々が私が亡くなったと思い、広く私の亡骸を供養し、私に遭いたいと恋しく慕う心が湧き上がり、求め仰ぐ心が生まれ、人々が我を捨てて私にすべてを任せ信じ、素直な心でもって、自分の命を顧みずにひたすら仏に会いたいと思ったならば、その時、 私と修行者たちが真実の世界とともに現れ出ます。私はその時人々に、私は常に存在して不滅であり、方便の力を用いて滅と示したり不滅と示したりするのです、と話すでしょう。よその国にいる人々にも私を敬い信じるならば、私はそこでもその中にいて無上の教えを説います。それを、あなたたちはこの教えを聞かず、私は亡くなっていないと思っています。私は人々を見るに、苦しいの海に沈み込み、それゆえに私は姿を見せずに真実を強く求める心を生ぜしめ、恋慕の心になったならば、即、私は教えを説きます。私の不可思議な力はこのようなものです。永遠ともいえるこの永い間、常に真実の世界があり、そこにまるごと住んでいます。それを人々はずーっと猛火で焼かれた恐ろしい炎熱の世界と見ますが、私はこの世界はやすらかな穏やかなところだと見ます。きよらかな天人たちがそこらじゅうに満ち溢れ、広い園の林や建物、住まいはいろいろな宝でゆたかに飾られ、宝の樹々には豊かにたくさんの実や果実がみのり、さまざまな所で人々は楽しく遊び、天の響き天の鼓さまざまな楽器の音色が響きわたっています。そして天からこの上ない美しい花々が仏と多くの人々の上に降り注いでいます。私の真実の世界であるこの浄土は壊れることはありません。それを人々は憂いや恐れ、もろもろの苦悩とかいうようなものででまったく永遠にこの世界にことごとく充満していると見ます。この世界に住んでいる人々は悪しき行いの因縁のために、永遠という永い時が過ぎても真実の教えを聞かないでいます。善い行いをして柔和な素直な人は、皆、間髪入れずに私の姿を見、私がここにいて教えを説き、ある時には人々に仏は寿命は無量無限であると説き、永い間かかってやっと仏見る人には、仏に出会うのはなかなか難しいと説きます。私はこのようにして智慧を働かしています。この智慧の光は限りなくすげてを照らし、のの寿命は永遠であり、永い間修行して得たものです。あなたたちよ、正しい智慧ある人はこのことを疑いを生じてはなりません。まさに疑いを木っ端みじんに断ちなさい。仏の言葉にはうそ偽りはありません。それは、医者がよき手だてを用いて狂った子を治すために、彼の父はまだ生きて元気なのですが、彼にはお父さんは亡くなってもういないと言うようなものです。これを嘘つきだと思ってはなりません。私も人々の父ろしてもろもろの苦しみを患う人々を救おうとしているのです。道に迷っている人々のために思いをひっくり返して、仏はいるにもかかわらず、私は人々に仏は死んでいなくなったの言います。迷っている人々には、私をいつでもどこでも出会っていると思っていると、その常見のために驕りの心が生じ、欲望に執着して放逸になり、悪しき道に堕落するのです。私は常に人々がどんな行ないをしているのかよく見て、それに応じてその人を救うためにどうしたら良いのか考えてさまざまな教えを説いています。いつもこの思いをつよくもっています。どうすれば人々をこの上ない道に導き入れ、速やかに真実の心、即ち如是に至らしめるのか、と。
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