/61.‘障碍ではなく、あらゆる人に活躍の場を’
年明け早々のヤフーニュースに、聴覚障碍者を積極的に採用しているコーヒーショップのスタバの記事があった。記事の前半は、長野市にあるスタバの店で働いている30代の聴覚障害の女性店員への取材記事であり、後半は東京・国立市にあるスタバの支店で働く多くの聴覚障碍者について、その店のマネージャへのインタービューだった。
前半は、長野県の聾学校を出た女性が愛知県の福祉関係の大学に進んだが、聴覚障害へのサポート不備や精神的ストレスなどで3年で退学し、その後、地元長野に戻って転職を繰り返したなかで、3年前ほどに縁あってスタバニ応募して2度目の挑戦で採用となったようだ。1、2年目は仕込みなどの裏の仕事をこなし、3年目に接客サービスに挑戦したという。‘私は耳が聞こえません。I am deaf.’と日本語と英語の両併記のボードを掲げながら、筆談や指さしで客から注文を受けてすてきな笑顔で会釈して退くという。また、鋭い観察眼で窓の日差しのまぶしさに気づいてすぐにカーテンを下したり、テーブルなどの乱れを整えたりなどとしているようだ。社員とも簡単な手話による交流も活発のようだ。なにより彼女の素晴らしいところは常に明るくて楽しい雰囲気にしてくれるということだそうだ。今、彼女は社員や客からの暖かい心に励まされながらいきいきと働いているという。
後半は国立市にある店のマネージャへのインタービューーである。その店では店員の大半が聴覚障碍者で36人もいるそうだ。近くに特別支援学校があって、障碍者の客も多いようだ。筆談や指さしだけでなく、健常者の客との間でも手話によるコミュニケーションがされることもあるようだ。なにより私が感動したのは、マネージャの「障碍ではなく、あらゆる人に活躍できる社会を作りたい」ということばだった。
スタバは、障碍などにかかわりなく、あらゆる人に開かれた会社を目指して積極的な障碍者雇用を推進しているという。
ただし、障碍者雇用扱いで鍼灸ないしマッサージ治療院に雇われたことのある私は、会社が障碍者雇用を隠れのみにして補助金を‘くすねている’実体を知っている。雇われたある治療院の経営者から‘補助があるので助かる’と言っていた。私の知っている何人かの視覚障碍者が就職して3年たつと首になった。障碍者雇用の国からの補助金が個々の障碍者に対して雇用して満3年たつと打ち切られるからだ。補助がなくても障碍者が安心してちゃんとした給料をもらえる社会になれるのか、スタバの今後を注視したい。
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