如是ということ

53.利他ということ  神谷湛然 記

/  53.利他ということ  利他ということばは一見、とてもよいことのように思える。他人に思いやりの心をもつ、困っている人を手助けする、世のため人のために尽くす・・・。仏教の世界でも‘自未得度先度他(じみとくどせんどた)’ということばがある...
如是ということ

52.‘生身のいのち’とフランシスコ・ザビエル  神谷湛然 記

/   52.‘生身のいのち’とフランシスコ・ザビエル  神谷湛然 記  「正法眼蔵」‘現成公案’、「普勧坐禅儀」、「証道歌」を私は意訳するとき、‘生身のいのち’という言葉をキーワードとして多用している。禅宗とか仏教の枠を越えてキリスト教や...
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25.証道歌その3  神谷湛然 意訳

/   25.証道歌その3  神谷湛然 意訳 <証道歌 41>  或いは是、或いは非、人識らず、逆行順行天も測ること莫し。  吾れ早く曽(かつ)て多劫を經て修す、是れ等閑に相誑惑(おうわく)するにあらず。 ()意訳) なにが是なのか、なにが...
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24.証道歌その2  神谷湛然 意訳

/   24.証道歌その2  神谷湛然 意訳 <証道歌 21>  我師然燈佛(ねんとうぶつ)に見(まみ)ゆることを得て、多劫(たごう)曾(かつ)て忍辱仙(にんにくせん)と爲る。 幾囘(いくたび)か生じ幾囘か死す、生死悠々として定止(じょうし...
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23.証道歌その1  神谷湛然 意訳

/   23.証道歌その1  神谷湛然 意訳    *    *  ‘さとりのうた’ 永嘉大師(ようかだいし)作    *    * <証道歌 1>  君見ずや、絶學無爲の閑道人(かんどうにん)。  妄想を除かず、眞を求めず、無明の實性、卽...
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22.普勧坐禅儀その3  神谷湛然 意訳

/   22.普勧坐禅儀その3  神谷湛然 意訳  嘗(かつ)て観る、超凡越聖(ちょうぼんおっしょう)、坐脱立亡(ざだつりゅうぼう)も、この力に一任することを。いわんや、また、指竿針鎚(しかんしんつい)を拈(ねん)ずるの転機、払拳棒喝を(ほ...
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21.普勧坐禅儀その2  神谷湛然 意訳

/   21.普勧坐禅儀その2  神谷湛然 意訳  夫(そ)れ、参禅は、静室(じょうしつ)宜(よろ)しく、飲食節(せつ)あり。諸縁を放捨(ほうしゃ)し、万事を休息して、善悪を思わず、是非を管することなかれ。心意識の運転を停め、念想観の測量(...
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20.普勧坐禅儀その1  神谷湛然 意訳

/   20.普勧坐禅儀その1  神谷湛然 意訳   ‘なぜ、あらゆる人々に坐禅を勧めるのか’  原(たず)ぬるに夫(そ)れ、道本円通(どうもとえんづう)、いかでか修証を仮(か)らん。宗乗自在、なんぞ功夫(くふう)を費(ついや)さん。いわん...
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19.正法眼蔵 現成公案その6  神谷湛然 意訳

/ 19.正法眼蔵 現成公案その6  神谷湛然 意訳  しかあるがごとく、人もし仏道を修証するに、得一法通一法なり、遇一行修一行なり。(このようにして、人がもし生身のいのちを親密に行じ悟りを証するとき、一つの生身のいのちを獲得し、一つの生身...
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18.正法眼蔵 現成公案その5  神谷湛然 意訳

/ 18.正法眼蔵 現成公案その5  神谷湛然 意訳  うを水をゆくに、ゆけども水のきはなく、鳥そらをとぶに、とぶといへどもそらのきはなし。(魚が水のなかを泳ぎ行く時、どこまで泳ぎ行っても果てしなく水が無限に広がり、鳥が空を飛ぶ時、どこまで...
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17.正法眼蔵 現成公案神谷湛然 意訳その4  

/   17.正法眼蔵 現成公案その4  神谷湛然 意訳  身心に法いまだ参飽(さんぼう)せざるには、法すでにたれりとおぼゆ。法もし身心に充足すれば、ひとかたはたらずとおぼゆるなり。(自己の身心が生身のいのちにまだ至っていないとき、生身のい...
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16.正法眼蔵 現成公案その3  神谷湛然 意訳

/   16.正法眼蔵 現成公案その3  たき木はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。(たき木は燃えて灰になれば、決して灰からたき木に戻ることはない。しかれども、生身のいのちとい...
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15.正法眼蔵 現成公案その2  神谷湛然 意訳

/   15.正法眼蔵 現成公案その2  仏道をならふといふは、自己をならふ也。自己をならふといふは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、万法に証せらるるなり。(生身のいのちを学ぶとは、自己とは何たるかを学ぶことである。自己とは何か...
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14.正法眼蔵 現成公案その1  神谷湛然 意訳

/   14.正法眼蔵 現成公案(げんじょうこうあん)その1  神谷湛然 意訳   *   *  「正しい教えの眼目」  ‘いかに生きるべきか’   *   *  諸法の仏法なる時節、すなはち迷悟あり修行あり、生あり死あり、諸仏あり衆生あり...
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51.三界六道について  神谷湛然 記

/   51.三界六道について  前稿で、三界六道について触れたが、さらに考えてみたいと思う。 まず、三界である。欲界とは、欲望にとらわれた世界とされる。欲には五欲という五つの欲に分けられるとされ、一つの解釈は、眼・耳・鼻・舌・身の五つの感...