/89.‘平和’を考える
強い日本の防衛を訴える高市自民が先ほどの衆院選で圧勝して三分の二以上の議席を獲得した。いよいよ憲法9条改正が視野に入ってきたかという思いである。ここで改めて平和について考えてみたいと思う。
私はこれまで、「29.平和について」「30.再び、平和について」「31.憲法9条について」のブログで平和について触れてきた。これらを踏まえて、今思うことを記したい。
核保有国であるロシア・北朝鮮・中国、そしてアメリカに囲まれ、アメリカの核の傘のもとでアメリカの‘忠実な犬’となって、ロシア・北朝鮮・中国と強い政治的軍事的緊張を起こしてきた。ここ最近は台湾有事などで中国との対立がやかましくいわれる。しかもその中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、特にaiや半導体に欠かせないレアアースの7割を中国に依存しているという経済的結びつきが無視できない事情がある。
しかし、つい最近まで日本はロシアと中国とはそれなりに関係はよかったのである。それが、ロシアに対しては、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにアメリカに追随してロシア制裁に走って、今や関係ゼロ同然といわれるありさまだ。中国には、高市首相のいわゆる‘存立危機事態発言’によって折角の関係改善の兆しが現れたのも束の間、2012年の尖閣国有化問題以来の冷え切った関係になってしまった。それでも、‘強い日本’を全面に押し出して、特に中国に一歩も引かない強硬な姿勢で臨む高市氏に国民の多くは支持しているようである。同じ右派政治家である故安倍氏の硬軟織り交ぜた外交政策とは対照的に、高市氏は硬一辺倒の‘強い’姿勢に危うさを感じずにはおれない。かって、‘強い大日本帝国’を打ち出して最後は世界のほとんどを的にまわして未曾有の敗戦を喫した歴史を思わずにはいられない。
安保条約にもかかわらず、アメリカはいざとなった時には日本を助けない、という論調をよく耳にする。日本や台湾、韓国などの東アジアのためにアメリカは自国の兵士を差し出して血を流すことに利益を感じていないという分析がある。特に今のトランプは利益になるかどうかで動き、高市首相の‘嫌いな’中国と手を結んで戦略物質・レアアースを大量確保しようとしている。主義主張にこだわる高市氏にはしたたかな外交は無理かもしれない。
私は、国との関係は人間関係と同じだと考えている。
この社会ではいろいろな価値観や考えを持つ人々で成り立っている。気のおけない人がいれば、顔を見るのも嫌な人もいる。しかし、そういう人も別の人からは真っ反対の評価のことをよく経験する。あの悪名高いヒトラーを高く評価している人がいる。問題は、それはそれとして認めてお互いが認め合い尊重しあう関係が大切だということではないだろうか。ただ、ヒトラーの場合は、ユダヤ人や社会主義・共産主義者、障碍者、ホームレスや非行者・犯罪者・アルコール中毒者などの‘反社会的’者、同性愛者、絶対平和主義から兵役拒否するエホバの証人信者、外国人捕虜など、気に入らない者を片っ端から抑圧弾圧・強制連行・断種(妊娠不能にすること)・殺害虐殺して存在を否定したことに彼の許すことのできない大罪があったことを指摘しておきたい。
なにが良くてなにが悪いのか、人によって時代によって違う。国の有り方も地域によって違う。世界でも多数が権威主義・専制主義国であり、イギリスの雑誌・「エコノミスト」によれば、2024年時点で完全な民主主義国は世界の8%(24か国)に過ぎないといわれる。中国は共産党による一党独裁国であり、ロシアは民主主義を装った大統領独裁国である。そうであるからこそ、中国は精錬に放射能汚染するレアアースを格安で生産して、その世界生産の9割を占有しているのだといわれている。また、ロシアのプーチン大統領は自国で自給自足できる食糧とエネルギーを武器にして外交交渉できるのだといえるかもしれない。
グローバルな経済が進む中で世界の大多数が非民主国という現状において、日本の歩む道は平和共存と互恵関係の促進ではないかと思う。いくら通常兵器増強しても核を持つ巨大国・中国に勝てるわけがないのは明白ではないだろうか。ましてや今や中国は日本よりはるか上の科学技術がある。特にaiははるか先をいっているといわれる。結局、日本が中国に本当に対抗したいならばまさしく核武装しかないだろう。そんな無意味な非生産的な軍備増強をはかるよりも、敵視政策をやめて‘戦略的互恵関係’を進めていくほうが生産的で有意義ではないかと思う。台湾有事に関しては、私は、日本が‘一つの中国’をとるかぎり、日本は台湾に関与すべきではないと考える。もし、日本が台湾に関与したいのであれば、即刻中国と国交断絶して台湾を唯一の中国として国交回復すべきだと思う。そういう覚悟が高市氏にあるのか疑問である。ともあれ、中国と信頼関係を築いていくことこそが一番安上がりでかつ最強の安全保障ではないだろうか。主義主張問わず、国際協調を進めていくことが日本の、ひいては世界の最大の利益になるのではないかと思う。とにかく、戦争ほど破滅的、地球環境破壊はない。地球を何百回も破壊できる核兵器の存在する現代ではなおさらだと思うのだ。

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